リアルじゃない

 少し前にどこかのニュースサイトでインスタグラムで強い影響力を持つという、確かGENKINGという名前(アカウント名?)の人に対するインタビュー記事を読んだ。この人のことは全然知らなかったし、何故この記事を読んだかも覚えていない。多分暇だっただけで特に理由はない。その記事でGENKINGは「今の若者は例えば気になる服があってもgoogleでは調べない。SEO対策をしたアフィサイトが出て来るだけで、本当の使用者の声は出てこないから。リアルじゃない。インスタだとその服を私服として着てるモデルの写真を見られる。写真だからごまかしがきかないし、実際に着ている人の声が聞ける」という感じのことを言っていた気がする。僕はSNS全般をライトにしか使ったことがないため、いまいちGENKINGの主張に実感がわかず、ふーんという感じでGENKINGとの遭遇はただ薄い印象を残して終わった。
 先ほど自室でブラウジングしていると突然ブーンという羽音がした。見ると頭上の照明の周りに一匹の虫が飛んでいる。ぱっと見た限りでは何の虫かは分からない。飛行の際の重量感からしてカナブンとかそういう感じの虫だとは思うが確証はない。どこかに留まるのを待っていると降下してきた。蜂だったらやばいと思い咄嗟にその場から逃げる。その間に虫はどこかに留まり、見失ってしまった。とりあえず武器になるものを探す。他の部屋にキンチョールがあるので取りに行こうかと思ったが、その間に虫に移動されると発見が難しくなる。現状でも見失っているとはいえ存在しうる範囲はかなり制限できている。また虫を殺すといったら殺虫剤と安易に考えてしまったが、実際のところ固いもので潰すほうが確実だ。キンチョールでは瞬殺できず、逃げられたり反撃にあう可能性がある。と、ここまで考えたところで不意に「キンチョールはリアルじゃない。」というフレーズが浮かび、なかなか悪くないなという印象。GENKINGさんありがとう。
 近くにあったティッシュ箱をもって虫のいそうな場所をのぞき込むと窓際に留まっているのを発見した。カメムシだった。ティッシュ箱の底を押し付け窓へとプレスするとカメムシは死んだ。