にこやかな関係

 今年の正月もしくは年明け直前、どちらかは覚えていないが中学の時の友人達と久しぶりに会った。このとき会った友人たちは特に仲の良かった友人達で、会う前から楽しみだった。
 待ち合わせ場所は駅で、時間ちょうどくらいに行くと既に皆そろっていた。久しぶりに見る友人たちの外見はそれほど変わっておらず、再会に際して抱いていた多少の緊張も消えて、久しぶりと声をかけた。実際話しても皆以前と変わらない印象ですぐに打ち解けた。予約していた飲み屋に行き、近況を聞いたり、中学時代の話をしたりした。楽しかった。 
 楽しかったのは間違いない。そのときの別れ際に、またこういう場を持ちたいと思ったし、そういう話もした。そしてまた来年にも会おうと約束をして別れた。
 それでもこの友人達との関係に一抹の寂しさのようなものも感じる。
 今回会った友人の中には2人きりではすぐに話に詰まってしまったことが多々あるのもいれば、いじりがきつめでそれに対して怒ったことのあるのもいる。彼らとの関係は確かに「友人」という共通の言葉で括れるものではあったが、個々別々に異なり、肯定否定含む交々とした感情を伴うものだったはずだ。しかし今やそれらの感情はぼやけてしまい、幾つかの個別的記憶はあれど、大きくは「過去に楽しい時間を共有した」というような曖昧な印象を基礎とした友人関係になっているような気がする。そんな無条件に、ただにこやかに過ごせるような関係だったかな、なんてのを思わないでもない。