みかん

 先ほど食事を終えて一息ついているとき、ふと周りを見るとみかんの入った袋が見えた。少し前にスーパーで買ったものだ。食後のこのタイミング、デザートのような感じでみかんを食べるのはありだと思ったが、しかし強く惹きつけられる感じでもない。ともかく袋に手を伸ばしみかんを一つ取り、食べる。間違いなく美味いし満足感もある。続けてもう一つ食べた。
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 みかんに限った話ではないが、きっかけがないと意識にのぼらない食べ物、料理がある。例えば卯の花の煮物、いんげん胡麻和え。これらはスーパーで材料を見かけたら作ろうと思い立つこともあるし、食卓に上れば喜んで食べる。しかし今日何食べようかというときにこれらが意識にのぼることは中々ない。ただこれらの料理は、おかずが食事にほぼ必須であるという都合上、献立を考える際に毎回意識されるチャンスがある。一方、みかんにはそれがない。
 またみかんがどのような名目で食べられるのかもはっきりしない。今回はデザートとして食べたが、みかんにデザートの名を負えるほどのスペシャル感はない。大抵は今回のように不意に視界に入って食べたくなるだとか、何か食べるものはないかと探した時に見つけて食べるというように消極的にみかんに至るという感じだろう。