ドリンクバーのバーの話

 先日サイゼリヤに行った。午前10時半頃に入店した。諸事情で朝に食事をとれなかったため朝昼兼用で食べるためだ。サラダとスパゲティを注文する。飲み物は水でいいと思ったため特に頼まない。料理が来るまでに水を飲もうとドリンクコーナーに取りに行く。前回サイゼリヤに来たのは年単位で前になる。その時はドリンクコーナーの水汲み器に「¥0」というような表記があったような気がするのだが、今回は無い。しばらく来ないうちに有料になったのだろうかと少し不安になるが、取り敢えずそのまま水を汲み席に戻る。店員に何か言われたら追加でドリンクバーを注文しようと少し身構えていたが、料理を持ってきたときに何も言われなかったので安心する。食事をしている最中にメニューに水の料金について書いてあるかもしれないと思い、ドリンクバーのあたりを詳しく見るが分からない。
 こんな風にドリンクバーのことを気に掛けているうち、ドリンクバーの「バー」とは何かという疑問にぶつかった。バーという言葉の意味で僕が知っているものを頭の中で探して出てきたのは
・飲み屋を意味するバー
・アンダーバー、ホームランバーなどの棒を意味するバー
の2つだ。このうちでドリンクバーはどっちのバーかを考えたところ、どちらもしっくりは来なかったのだが前者の方が飲み物に関連していてありえそうだと感じた。それでは飲み屋のバーの意味だとして、何故ドリンク飲み放題サービスがそのように呼ばれるのかが問題になる。
 ここまで考えたところで、この○○放題という形式には定着している呼び名があったような気がした。少し考えたところ無事思い出した。それは「バイキング」だ。思い出した直後は何故定着しているバイキングという言葉を使わないのかと疑問に思ったが、「ドリンク」という言葉と組み合わせて「ドリンクバイキング」と心の中で唱えた途端にその理由が分かった。「ドリンクバイキング」。こう言われると僕は豪勢なものを想像してしまう。バイキング形式は必ずしも高級とは限らないので、この辺は僕の感覚でそれが平均的なものかは分からないが、少なくとも下図のような甘くて安い飲み物を出す四角い機械を使う権利に「バイキング」の名は荷が重いのではないか。
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サイゼリヤのドリンクバーがドリンクバイキングなどと名付けられていたら僕は失笑してしまう。
 話を戻して何故「バー」と呼ぶのかだ。これも少し考えたところ、尤もらしい考えが浮かんだ。それはあの機械が飲み物を提供するバーの機能を果たしているからドリンクバーと呼んでいるというものだ。つまりあの機械、若しくはあの機械の置いてある場所の名称がドリンクバーだということだ。しかし、この考えによればメニューにあるべきは「ドリンクバー」ではなく「ドリンクバー利用権」のはずだ。このときふと、これはあれではないかと思った。あれというのは世でしばしばある「名称を省略する際に本質的な部分を省略してしまう現象」のことだ。スーパーマーケットがスーパーと呼ばれたり、フランクフルト・ソーセージがフランクフルトと呼ばれたりするのが典型例だ。つまり「ドリンクバー利用権」では長いとか堅苦しいとかそんなような理由で略された結果「ドリンクバー」となったのではないか。この理由で僕は納得した。
 とはいえこれはいくつもの仮定に基づいた推論に過ぎない。しかしこの結論を支持する材料を先ほど見つけた。それはまさにサイゼリヤのメニューの中にある。サイゼリヤのメニューはWeb上でも見られる。
www.saizeriya.co.jp

このグランドメニューのドリンクバーの載っているページを見るのだが、日本語を見ても分からない。英語の部分にそれはある。引用する。

Please help yourself to self-service drinks at Drink Bar(free re-fills)

文末の"at Drink Bar"。これは間違いなくドリンクバーが権利ではなく機械、または場所を表す言葉であることを示している。