足摺観光記録 1/3 岡山~中村~四万十川~公園

 先々週に岡山に泊りがけで行く予定があった。僕は前にpanpanyaの『足摺り水族館』を読んで以来、足摺海底館を見たいと思っていた。足摺海底館は高知県にある。京都から岡山に行くのにもある程度のお金がかかったため、京都から高知へ行くとなると結構な額になる。それでどうせならこの機に高知へ行ってしまおうと考え、行って来た。その記録を残しておく。長くなったので3分割した。

足摺観光記録 2/3 公園~足摺岬~足摺テルメ~あしずり祭~公園 - アドレナリン
足摺観光記録 3/3 プラザパル~竜串~足摺海底館 - アドレナリン

 岡山滞在中に足摺海底館への行き方を調べたところバスで岡山駅高知駅、電車で高知駅→中村駅(もしくは宿毛駅)、そこからバスで海底館周辺というルートで行けることが分かった。前日にバスを予約する。岡山での予定が終わり15:40発のバスで高知へと向かう。高知駅へ着いたのは18時ぐらい。この日はよさこい祭の日だった。祭りは複数の会場で行われているようで駅前にも会場があり賑わっている。中村行の電車が出るのは19時前で1時間ほどあるため、祭りを少し見て観光案内所で足摺周辺のパンフレットを入手する。
 19時前に電車に乗り中村へと向かう。窓から見る風景はどんどん田舎っぽくなっていく。僕は宿泊先を確保しておらず適当にネカフェか何かで泊まろうと考えていたのだが、この調子だとそれは無理そうだと感じ、不安になるが中村周辺まで行くと少し都会っぽくなり安心した。
 少し遅延はあったものの概ね予定通り中村駅に着く。次の日は朝から動くつもりなのでさっさと寝ようと思い寝床を探す。駅を降りて少し歩くだけでいくつかの民宿を見つけることができた。しかし予約なしで民宿に泊まるのは難しいだろうしお金も結構かかると思い、もっと安価な場所を求めて周辺を歩き回る。適当に歩いてみるが一向に見つからない。ここにきてスマホでネカフェの場所を検索したところ、周辺には無いことを知る。しかし検索から漏れるようなマイナーな店や、ネカフェに限らず簡易的な宿泊施設があってもおかしくないと思い再び探す。飲み屋街の近くなら遅くまで飲んでいた人が泊まれるような施設がありそうだと思い、飲み屋街のありそうな雰囲気のする方へ足を進めると無事スナック街を発見する。しかし歩き回っても泊まれるところは無い。このスナック街は運転代行を徹底しているようでひっきりなしに「代行」の文字の書かれた自転車が往来していた。
 見つからないまま24時になる。鼻で笑う程度の考えであった野宿という選択肢が現実味を帯びてくる。というかそれ以外のアイデアが無い。野宿をするといっても適当にそこらへんに寝るわけにはいかない。最低限確保しなくてはならない条件として考えたのは「最悪のケースでも死なない」「人目につかない」というもの。住居のすぐ近くでは住民に見つかったときにトラブルになるが、逆にあまりに人気の無い場所では何かあったときに助けを呼べず危険だ。その中間のようなところが望ましいと思った。そのような場所はなかなか見つからなかったが四万十川沿いに良さそうな場所を発見する。そこは小規模な公園で芝生が敷いてある。住居はすぐ近くには無いが叫べば容易に声が届くような距離にはある。
 芝生に直に寝るのは虫がつきそうで嫌だがやむを得ない。服の入ったビニール袋を枕にして横になる。地面は固いが寝られないほどでもない。小さな虫がたまに皮膚につくが頻度はそれほどでもなく、その都度振り払えば問題にはならない。服の中に入られるのは嫌なのでシャツのすそをズボンの中に入れ、ズボンのすそを靴下の中に押し込む。河原が車道になっており公園は車道沿いにあるため、車が通るたびにヘッドライトが目に入るのが少し気になる。しばらく寝転がっていると耳元でプーンという虫の羽音がする。音自体は我慢できるが耳の中に入られたら嫌なのでポケットティッシュを小さくちぎって耳に詰める。
 総じてみれば寝ることが可能な環境ではある。しかし寝付けない。恐らくは不安のためだ。荷物を取られないかという不安、悪意ある人間に襲われないかという不安があった。気を紛らわすために素数を数えたり、エロいことを考えたり、星をじっと見つめたりしたが駄目。そのうち蚊に刺されるようになり、かゆさに耐えられなくなり起き上がる。時計を見ると1時間ほど経過し1時。
 再び野宿の場所を求め歩く。川沿いに寝たのも最終手段というぐらいの気持ちだったのでそう簡単に他の場所は見つからない。途中で歩き疲れバス停の椅子に座る。その椅子が座りやすいので座ったまま仮眠を取ろうかと思ったが、近くで自動車用信号が黄色く点滅しておりそれが視界に入るので無理だった。次の日の移動は中村駅の前のバス停から出発する予定でいたが、歩いているうちに結構駅から離れたところまで来ていた。とりあえず駅周辺に戻ることにする。
 戻る途中で公園を見つける。おそらく2時くらい。そこには複合型の遊具があり、その遊具には地面から1mほどの高さの場所に十分な広さの平らな領域がある。しかも囲いがあり外からは見えにくい。ここなら安心出来そうだと感じ、横になってみる。床が金属なのでひんやりとしている。地面はさっきよりも固いが、虫の脅威もなく悪くない。しかし不安は解消されない。少し物音がするたびに周りを見渡しびくびくしながら過ごす。しばらくするとまた蚊に刺されるようになった。蚊は遠くからでも人を感知して寄ってくるのだろうか。そしてまた耐え難くなり起きる。時計を見ると3時過ぎ。ここで虫よけスプレーを使えばよいことに気づく。近くのサークルKへ行くと売っていた。すぐさま開封し肌の露出している部分に多めに噴射する。再び公園に戻り寝転がる。疲れからか先ほどまでは無かった眠気を感じる。これは寝られそうだと少し希望を感じつつ寝転んでいると気づけば眠っていた。とはいっても意識が飛んだような感覚と体感時間よりもずっと長い時間が経過していることから寝ていたことが確信できるような曖昧な眠りではある。それでも眠りに至るまでの苦労を思うと結構な達成感があった。

写真

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中村駅の待合室。小奇麗。
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スナック街の一部。夜と大分印象が違う。
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四万十川沿いの芝生。眠れなかった。
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バス停の椅子。座り心地が良い。
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複合型遊具。