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今年の夏のために 冷やし中華

 この文章は冷やし中華について書くのだけれど、冷やし中華という料理は地域または家庭によって結構な差異がありそうな料理だ。実際のところ差異があるのかは知らない。何故そのように思うのかというとマイナーチェンジの幅が広いからだ。具材、タレ、麺の軽微な変更を積み重ねることで、同じ冷やし中華という名で呼ぶのをためらわせるようなものができそうだ。そのため、まずは冷やし中華について必要なだけの共通認識を作るべきだが、ここでは手間を惜しんで行わない。大まかに特徴を記すに留める。

冷やし中華の特徴
冷やし中華は大きく具材、タレ、麺の3つからなる。典型的には平皿に盛られており、ゆでた後冷やされた麺が第一に盛られ、その上に具材が散らされ、さらにその上からタレがかかっている。タレの量は皿の底に少し溜まる程度。具材はキュウリ、薄焼き卵、カニカマ、蒸し鶏などで、どの具材も細長く切ってある。タレは醬油ベースで酢による酸味が効いている。ごま油で香りをつけてあることもある。麺は弾力があり、表面がツルツルとしている。夏によく食べられる。

 実家にいたころは夏の休日の昼食に母が冷やし中華を作ることが少なからずあったため定期的に食べていた。今はもう実家を出ている。前に近所で冷やし中華を出す店を探したけれど見つけられなかった。そのため、食べるには自分で作らなくてはならない。しかし、冷やし中華を作るのは結構面倒だ。麺とタレのセットは夏にスーパーで出回るが、具材は自分で用意しなくてはならない。この具材の準備が曲者だ。僕は冷やし中華にはキュウリと薄焼き卵は必須だと思っていて、さらに具材は2種類では寂しいので他に蒸し鶏、カニカマ、トマトなどから1,2種類を加えることになる。麺を茹でる、卵を焼く、鶏を蒸すというのはそれぞれ独立していて一まとめにできず、異なる道具を必要とする作業で手間がかかる。また、それぞれの具材は少量ずつしか必要ないため材料が余る。これらの理由から滅多に作らずにいる。

 夏に冷やし中華を食べることは僕にとって大きな喜びだ。このことをさっきベッドで寝転んでいるときに思い出した。それで今年の夏は是非とも食べてやろうという気になったが、すぐに上述したような困難があることを思い出し気持ちが揺らいだ。少しして「事前に冷やし中華を作ることに慣れておけばよい。特訓しよう。」などという勢いのある考えが浮かんだが、同時に実際には特訓をしないだろうという確信めいた気持ちもあった。結局、これといった結論は出なかった。