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黒田硫黄『大日本天狗党絵詞』を読んだ

 友人が前に黒田硫黄の『大日本天狗党絵詞』が最も好きな漫画だと言っていた。それ以来読んでみたいと思っていて、今日ついに読んだ。
 二度読んだ。二度目を読み終えたばかりで「いい漫画だったな」という感慨はあるものの、具体的にはあまりうまく書けそうにない。それでも今思うところを記しておく。内容に関する記述(=ネタバレ)を多少含む。
 僕は「面白かった」とか「感動した」というだけの感想は好きではないが、この文章には大体そういうことを記す。

 一度目は序盤中盤と淡々と読み進めた。終盤に話のスケールが大きくなり、東京がどんどんと破壊されるあたりから、その荒唐無稽さに少し馬鹿らしいと思いつつ読んでいると、そのままのドタバタ加減で、あっさりと日本が壊滅し、そのあとラストシーンが来て終わってしまった。つまり、一回目はとにかく読み進めていたら終わったという感じだった。こう書くと退屈だったかのように読めるかもしれないがそんなことはない。上手く言えないが、兎に角退屈することなく最後まで読んだ。「次にどうなるのか気になって仕方がない」というような熱狂とは無縁だが、ページをめくる手を止めることなく読み続けていられた。読み終えて「面白かったな」と思い、印象深い場面を振り返ろうとするも不思議と一つも浮かばなかった。それで、冒頭あたりを読み返していると、自然と最後まで再読していた。二度目では終盤の師匠に感動したが、どこに感動しているのかを考えても分からなかった。
 二度目を読んでも「ここがたまらない」という場面は思いつかない。それは、この物語がどんどん流転していって少しも安定しないからかもしれないと思う。ここまでで一段落などと息をつく間もなく次々と何かが起こり、そのまま日本が壊滅しシノブは一人になる。一部分切り出して語ろうにも、それ以前があってこそ情緒深い場面ばかりだ。